会津から世界へ ~たったひと粒のピーナツから世界に幸せの種をまく!~
【企業名】KDDI株式会社
【活動期間】2023年9月~
【共創先】農業生産法人APJ株式会社
豊かな会津の地で生産される「会津ピーナツ」。
APJ株式会社の代表・松﨑健太郎さんは、会津地方の喜多方市で豆の加工・販売に携わっていました。その中で、会津の地と落花生へ込める想いが募り、「会津ピーナツを世界に誇るブランドにする」という目標を掲げ、自ら生産から手掛ける農業生産法人APJ株式会社を設立。
ピーナツを起点に会津へ人を呼び込む「会津ピーナツ村構想」の実現に向けて走り出していました。
この想いに共感したKDDIの社員たちがチームを組み、APJ株式会社(以下、APJ)を支援することを決意。KDDIメンバーの専門性とAPJの情熱を掛け合わせ、ピーナツで地域の未来を切り拓く3年間のプロジェクトが動き出しました。
【1年目】現場から始まる共創 ― “ピーナツ村”の種をまく
2023年9月、KDDIメンバーが福島県喜多方市を訪れ、1泊2日のフィールドワークを実施。
落花生を栽培する圃場、加工を担うアイヅピーナツセンター、そして商品を販売するアイヅピーナツマートを自分たちの目で確かめました。
生産から販売までの一連の現場を直接確認する中で、松﨑さんの想いや、その先にある「会津ピーナツ村構想」の展望が共有されました。
また、KDDIメンバーからも本プロジェクトへの参画理由や地域連携に向けた意気込みが語られ、互いの志を確認し合う場となりました。
フィールドワークの最後には、KDDIメンバーが現地視察でインプットしたことをお互いに確かめ合いながら、松﨑さんが想い描く「会津ピーナツ村構想」に盛り込みたいアイデアについて、ディスカッションしました。
このフィールドワークを皮切りに、その後はKDDIの有志メンバーが継続的してオンラインで議論を重ねる形でプロジェクトは進むこととなります。
ピーナツ村民の獲得に向けたSNS活用
「会津ピーナツ村構想」とは、喜多方市全体を一つの大きな「会津ピーナツ村」に見立て、地域一丸となって地域の魅力を発信していくというユニークな構想です。
松﨑さんは、会津ピーナツ村の「村民1,000人獲得」を将来的な目標に掲げていました。
ここでいう「村民」とは、単に製品を購入する顧客を指すのではありません。喜多方でのピーナツ作りを応援し、その魅力を自ら発信して認知を広げてくれる「ファン」であり、さらには地域産業の活性化の一端を担う存在を指しています。
こうした継続的な関係を築くファンマーケティングの視点を持って、まずはSNS(X)を活用してファンとの接点を作り、認知を広げていく方針を固めました。
SNS運用にあたっては、松﨑さん自らが描いたキャラクターをアイコンに据え、親しみやすい会津弁での発信を継続しました。単なる情報発信に留まらず、デジタル上で「村民候補」となるフォロワーを増やすための戦略を練り上げた結果、開始から5ヶ月ほどで当初の目標、フォロワー100人を大幅に上回る、2,800人超のフォロワーを獲得しました。当初の想定を超えたスピードで、デジタル上のコミュニティ形成という大きな資産を築き上げることができました。
首都圏イベントでの実践
また、「会津ピーナツ」の認知拡大を目指すため、期を同じくして共創活動をスタートした、「KDDI×ブランド鶏協議会」チームと連携し、KDDI本社ビルで物産展を開催しました。
会津ピーナツを使用したスイーツを中心に販売し、会場は大盛況。
KDDIの有志メンバーも店頭に立ち、来場者へ直接その魅力をアピールしました。
一度購入したお客さんが再び買いに訪れるリピート購入も多く見られ、接客を通じて会津ピーナツのファンが増えていく光景をダイレクトに実感できたことは、メンバーにとって大きな収穫となりました。
また、こうしたSNS活用やイベントなどの実践と並行して、KDDIの有志メンバーが2024年2月に再び喜多方市を訪れ、ピーナツをきっかけとした地域一丸となった魅力発信の実現に向け、外の目線から見た「ピーナツ村」の魅力を、地域の方に伝えるべく、喜多方市内の熱塩温泉を拠点としたミニモニターツアーを実施しました。
モニターツアーでは地元関係者も交え、お互いに意見交換を行うなど、「会津ピーナツ村構想」実現に向けた次なるステップへの手ごたえをつかむ1年となりました。
【2年目】共感を仕組みに ― 持続可能なコミュニティづくり
2年目は、初年度に育んだ信頼関係をベースに、ピーナツを通じた地域活性化をどうすれば持続可能な「仕組み」として動かせるかを突き詰める段階へと進みました。
ピーナツを起点に会津に呼び込んだ人を単なる交流で終わらせず、「どのような仕組みを構築すれば、遠く離れた人々が当事者として関わり続けられるのか」を問い直し、「会津ピーナツ村構想」の骨組みを強固にすることが目的でした。
「会津ピーナツ村構想」が目指す“村の姿”―
・「作る」「食べる」「学ぶ」「遊ぶ」の4つのキーワードを軸に地域と連携し、ピーナツ村を多面的に発展させる
・農家の後継者問題をはじめとする地域課題に対し、「会津ピーナツ村構想」を通じた解決を目指す
・村民が遠く離れた場所にいても、共に会津ピーナツ村をアップデートできるコミュニティを造成
そんな姿を目指すべく、次年度に向けていくつかの具体的アイデアが生まれました。
①農家を支援する「投資型クラウドファンディング」
農業機材導入など、農家が直面する課題解決という明確な目標を掲げ、共感を得て資金を募る。
単なる返礼品の提供に留まらず、地域農業の未来を共に創る「投資」としての新しい関わり方を提案する。
②村を動かす「参画型ファンコミュニティ」
年会費制で「会津ピーナツ村」の村民を募り、DAO(※)を活用した村民参画型のファンコミュニティを構築。
村民に対しては、現地での体験機会等の提供だけではなく、村民一人ひとりが村の運営方針や予算の使い道について、デジタルツールを活用して民主的に話し合い、決定に参画できる機会を提供。
※DAO(Decentralized Autonomous Organization:分散型自律組織)は、ブロックチェーン技術を活用し、中央管理者不在でスマートコントラクトにより自動運営される組織。投票権(ガバナンストークン)を持つ参加者が平等に意思決定し、透明性が高く、プロジェクト運営やNFTコミュニティなどで活用される。
松﨑さんは、「しっかりと準備すれば共感してくれる人はいる。個人では難しいことも皆で協力すれば実現できる。この仕組みを整えた上でスタートさせたい」と語り、村民との関わり方が明確になったことでプロジェクトへの期待がさらに高まりました。
収穫祭の企画、次なる「実働」への準備
1年目の喜多方市視察で体感した経験を活かして、「会津ピーナツ村構想」の基本理念である、ピーナツを起点にした会津地域の魅力発信を実現するため、毎年10月に開催する「ピーナツ収穫祭」の企画運営や、新たな企画として実施する収穫祭参加者に向けのツアーのアイデアをぶつけ合いました。
あいにくの天候不良により、収穫祭やツアーの実施は、見送ることになりましたが、KDDIの有志メンバーは現地を訪れ、実際にピーナツ畑へ入り、泥にまみれて松﨑さんと農作業を共にしました。
自分たちの手で収穫を体験することで、外から眺めているだけでは気づけなかった「この土地ならではの価値」を肌で感じることができ、「体験」という価値もコミュニティ参加や投資のリターンにできるのではというアイデアも生まれました。
2025年1月には、KDDIの有志メンバーが松﨑さんと共にKDDI社内の情報交流会「森の学校」にて、これまでの試行錯誤を詰め込んだ活動の歩みを報告しました。
この報告は「森の学校」を視聴したKDDI社員からも好評で、松﨑さんの活動や想いが着実に届いていることを実感した瞬間でした。
また、KDDIの有志メンバーにとっても、松﨑さんが現在の想いやこれからの展望を改めて「自分の言葉」で語ってくれたことで、お互いの関係性が「支援する・支援される」といった垣根を超え、同じ目標に向かう仲間のような一体感が一層深まりました。
【3年目】構想が動き出す―ピーナツがつなぐ喜多方市の未来
3年間にわたり進めてきた共創活動―
「会津ピーナツ村構想」の実現にむけた次なる展開として、松﨑さんより発表されたのは、新たなプロジェクト「PEANUTS HUB AIZU」でした――
新たなプロジェクト「PEANUTS HUB AIZU」の始動―
「PEANUTS HUB AIZU」とは、ピーナツをハブ(起点)として、空き家活用やエネルギー循環、観光ツアーの造成など、地域のあらゆる課題を大手企業の資本や技術と掛け合わせて解決していく壮大なプロジェクトです。
プロジェクトを進めるため松﨑さんは、課題を抱える地域企業と、大手企業をつなぐハブとなる組織「一般社団法人PEANUTS HUB AIZU」を新たに設立。
地域と大企業のハブとなることで、地域企業と大企業が連携する仕組みをつくり、地域共創をさらに推進することを目指すことになりました。
松﨑さんはこのプロジェクトについて、
「KDDIの有志メンバーとの共創活動があったからこそ描けたビジョン」と語ります。
DAOを活用した「参画型ファンコミュニティ」の運用アイデアや、農業体験を組み込んだピーナツ村ツアーの企画など、プロジェクトには、今までの活動の中で生まれたアイデア。そして、共に活動してきたメンバーの想いが詰め込まれています。
挑戦は、一粒の種から続いていく
これまで積み重ねてきた活動が実を結び、「(一社)PEANUTS HUB AIZU」は、地域課題解決を目指すアライアンス「YORIMIRAI」への参画が決定。
「YORIMIRAI」は多様な業界の企業や団体が、アセットや地域課題解決に関する知見を持ち寄り連携させることで、課題解決を加速し、持続可能な地域づくりを推進する取り組みです。この参画により、今後多くの企業・団体との連携が生まれ、松﨑さんが目指す「会津ピーナツ村構想」の実現に向けた着実な歩みが期待されます。
松﨑社長の挑戦は、止まることを知りません。
「会津を世界に誇れる場所にしたい」 その純粋な想いは、いまや誰にも止められない大きなうねりとなりました。
物語は、まだ始まったばかり。 会津から世界へ。一粒のピーナッツが起こす奇跡は、これからも続いていきます。
▶参考リンク
農業生産法人APJ株式会社(福島県喜多方市)
https://okuya-pj.co.jp/
一般社団法人PEANUT HUB AIZU(福島県喜多方市)
https://peanuts-hub.com/
地域課題解決を目指す企業アライアンス「YORIMIRAI」を発足
~32の企業や団体が参画し、持続可能な地域づくりを目指す~(2025年8月29日)
https://yorimirai.com/pres/article/hsGt3AC9/p92rQOOX